クロネコの手帳

知ったこと+考えたことの記録

大人に相談なんてしない

図書館で手に取った本。

謝るなら、いつでもおいで―佐世保小六女児同級生殺害事件―」川名壮志/著

 

事件自体については、当時のセンセーショナルな報道から覚えていた。

手にとった動機は

▼刑罰の対象にならない年齢の子供の司法手続きの枠組みがどうなっているか気になった

▼最も間近で事件を見つめた記者の記録に興味があったから

 

内容が非常に重たく、借りて持ち帰りたくはなかったので週1で図書館に足を運ぶ機会にその場で読むことに。

3週間ほどかけて読了。

 

構成は時系列に事件を追う前半、証言がまとめられた後半とシンプル。

司法手続きに関しては以下の2点が分かった。
◆処遇の幅がかなり限られていること

◆14歳以上の少年が刑事事件を起こした際の手続きと比べて異様なスピードで進むこと

 

事件当日の様子、著者の記者としての葛藤、関係者への継続取材で得た証言など読み応えのある本だった。

 

最も印象的だったのは、タイトルになっている言葉を発した人物の証言。

その人物にだけ見えていた事件の解像度、事件が彼に与えた影響と、事件のとらえ方など、その人物の扱いが本の後ろになるまでは極端に少なかっただけにギャップが大きかった。

 

彼の言葉で印象的だったのは、この2フレーズ。

「子どもが大人に相談するなんて、そうとうなところまでいかないと相談しないですから」

 

メッセージとして通じるものは以前Netflixで観た"13Reasons Why"というドラマからも得たのに失念していた。

 

大人から見えない子供達の世界の中で、異変がないかどうか、問題が起きた時は察知できるはずと思い込んでしまっているけど、思っている以上に彼らの世界は複雑で気軽に相談なんてしてくれないのが現実だということ。

1人の親として心にとどめておきたい。